訪問リハビリテーションとは、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が利用者の自宅を訪問し、心身機能の維持・回復や、日常生活の自立を支援するサービスです。高齢化社会によって医療・介護ともに予防に重きが置かれている現在では、高齢者のリハビリテーションのなかで、このような心身機能などの改善だけではなく、自己実現や社会参加といった、生活の質を向上させ生きがいを得るための支援が重要であるといわれています。

訪問リハビリテーションを利用するには

訪問リハビリテーションの対象となる条件としては、要介護1以上(要支援1~2の場合は介護予防訪問リハビリテーションの対象となります。)であること、または主治医から必要と認められた場合となります。65歳未満や65歳以上の介護認定を受けていない方は利用できないかというと、そうではありません。そのような場合は介護保険ではなく医療保険で訪問リハビリテーションを利用することができます。

訪問リハビリテーションの支援について

では、訪問リハビリテーションではどのような支援が行われるのか、専門職別に紹介していきます。

  • 理学療法士(PT)

主として基本的動作能力の回復を図るため、体操、電気刺激、マッサージ、温熱、スポーツなどの物理的な治療を用いて指導や助言を行います。

  • 作業療法士(OT)

主として心身の機能や社会適応力の回復を図るため、家事や手芸など、日常生活における作業動作を通じて指導や助言を行います。

  • 言語聴覚士(ST)

言語訓練や嚥下訓練などを行います。話す・聞く・読む・書くことが困難な失語症の方に対して、物の名前を言う訓練や読み書きの訓練などを行います。また、呂律が回らず発音がはっきりとしない構音障害の方に対して、口周りの筋肉を鍛える運動や、発音しにくい音の練習などを行います。

このような機能訓練や生活動作訓練、言語訓練だけでなく、ご家族の負担軽減を考えた介助方法や住宅改修など生活環境に対するアドバイスまで、訪問リハビリテーションのサービス内容は多岐に渡ります。

訪問リハビリテーションのメリット

訪問リハビリテーションの一番のメリットは、やはり自宅で支援を受けられることではないでしょうか。介護保険施設へ通うのが困難な方だけではなく、自身にとって慣れた生活環境下で支援を受けられるのは、利用者本人にとって心身ともに負担が少ないといえるでしょう。また、上記のようにご家族へ対するサポートや指導に加え、リハビリの状況を実際に見て確認することができるので、ご家族にとっても安心です。リハビリを行うことによって症状が改善・回復したとしても、特に高齢者は加齢とともに身体機能が衰えやすくなっています。

大切なのは、症状が改善されてもリハビリを継続し、質の高い生活を維持することかもしれません。