介護記録アプリとは、食事や排泄の介助、リハビリテーションといった日々の介護の内容や、利用者様のバイタルサインなどの状況を記録しておけるアプリのことです。

介護記録アプリを活用することで、紙やExcelなどに記録するよりも入力や保管・管理の作業を効率化できます。また、スタッフ同士や利用者家族との情報共有を円滑にすることも可能です。

本コラムでは、介護記録アプリの導入メリットや主な機能、おすすめの10選をご紹介いたします。

介護記録アプリとは

介護記録アプリとは、食事や排泄の介助、リハビリテーションといった日々の介護の内容や、利用者様のバイタルサインなどの状況を記録しておけるアプリのことです。
スマートフォンやタブレット端末で利用できるため、利用者のそばで記録を入力することができ、後から入力し直す手間がかかりません。また、データで管理できるため、紙やExcelなどで記録するよりも入力や保管・管理の作業を効率化できます。
介護記録を残すことで、利用者への継続的なケアを提供したり、介護の質を向上させたりすることができ、法的な証拠として活用することも可能です。このため、介護記録を残すことは、介護業務の中でも重要です。

介護記録アプリには、無料のものから有料のものまで、さまざまな種類があります。導入する際には、自社のニーズに合ったアプリを選ぶことが大切です。

介護記録アプリの主な機能

介護記録アプリには、主に次の4つの機能があります。

利用者情報管理

多くの介護アプリには、利用者情報を管理する機能が搭載されています。
たとえば、名前や年齢、性別、連絡先といった基本情報に加え、病歴や投薬、アレルギー情報などの医療情報を管理できます。

スケジュール作成・管理

介護アプリでは、訪問介護やデイサービスなどのスケジュールも作成・管理できます。
ケアの予定や診療日、リハビリ日などを簡単に登録・編集できたり、予定時間が近づくと、アプリが自動的に通知を送ってくれるリマインダーを利用できたり、実施したケアの詳細を記録し、後でレビューすることができます。

介護記録の作成・管理

食事、排泄、服薬、入浴、リハビリテーションなど介護者が利用者へ提供した介護の記録を入力し、保存・管理することが可能です。
さらに、日々の利用者の体温や血圧、脈拍などのバイタルサインや、認知症の症状などの利用者の状況も記録できます。

各種帳票の作成

介護記録アプリ上に蓄積されたデータを利用して、介護レポートや事故報告書、介護給付費明細書、介護給付費請求書などの各種帳票を作成できる機能を持つものもあります。
さらに、CSV形式などで出力することも可能です。

介護記録アプリのメリット

介護記録アプリを導入・活用することで、大きく次の3つのメリットが得られます。

介護記録の作成を効率化

介護記録アプリには、一般的な介護記録のフォーマットがテンプレートとして用意されていることが多く、それらを利用することで記録のフォーマットを1から作成する手間が省けます。
また、介護記録アプリがあればスマートフォンやタブレット端末を利用者のベッドサイドなどに持って行き、その場で記録を入力できるため、リアルタイムでの記録が可能になります。このため、後からまとめて入力する必要がなく、手間と時間を削減できます。

事務作業の負荷軽減

介護事業所では、介護報酬請求業務を始め、資料や書類の作成や利用者カルテの管理、人事・労務管理などの業務を中心に多くの事務作業が発生し、少なからず負担となっています。
そこで、少しでも事務作業を効率化し、負荷を軽減する必要があります。
介護記録アプリを導入すれば、介護記録や報告書などの記入や転記の手間が省ける上にスマートフォンやタブレットで簡単に入力や閲覧ができ、紙の保管場所や管理も不要になるため、事務作業の負荷軽減につながります。

スムーズな情報共有

介護記録アプリでは、複数の介護士が同時にデータを入力・閲覧でき、これらのデータが自動的に同期されます。
こうして日々、記録・蓄積した介護記録は、アプリ上でスタッフや利用者の家族と簡単に共有できます。

サービスの質の向上

介護記録アプリの導入により、介護士の介護記録や情報共有にかかる手間と時間を削減でき、より質の高いケアに注力できるようになります。

また、スタッフ同士で利用者の状態をより迅速に把握できるようになるため、適切なケアを提供することが可能です。

さらに、介護記録アプリの入力支援機能により、入力ミスや漏れが減り、記録の品質向上が見込めるため、利用者の状態をより正確に把握できるようになり、より効果的なケアを提供できることも期待できます。

介護記録アプリのおすすめ10選

このようなメリットが期待できる介護記録アプリが、各社から提供されています。
ここでは、さまざまな介護記録アプリの中からおすすめの10点を選んで、ご紹介いたします。

ケアコラボ

https://page.carecollabo.jp/

ケアコラボは、介護記録システムの開発・運用などを手がけるケアコラボ株式会社が提供する介護記録アプリです。

コンセプトは「誰もがマニュアルなしで使える」。
記録に特化した使いやすい機能が特徴です。さらに、バージョンアップを毎週実施し、使い勝手の向上に努めています。既存の請求システムと併用できるタイプです。

利用者の記録では、写真や動画も利用できます。
通信の暗号化やログイン制限といった情報セキュリティ対策も施されています。

利用料金は、初期費用は無料で、月額費用が介護職員1名当たり、880円(税抜)となっており、最低利用金額は8,800円(税抜)/月から。
1週間の無料体験が用意されており、希望者はフォームから申し込めます。

ケア記録アプリ

https://kaigosapuri.com/carerecord/

ケア記録アプリは、介護事業向け業務支援やデータ分析などを手がける株式会社介護サプリが提供する介護記録アプリです。

どのような年齢層の介護士にも使いやすいよう、タッチペンによる手書き入力にも対応。
ほかにも、キーボードによる入力や選択肢や定型文から選ぶだけの簡単入力など、さまざまな入力支援機能が備わっています。
パソコンの管理画面からは、簡単操作で帳票の出力やCSVデータの出力が可能です。月次処理や分析にデータを活用できます。

利用料金は、初期費用は無料で、月額費用はiPad1台につき5,000円(税抜)。
最大1ヵ月の無料お試しが用意されています。

CareViewer(ケアビューアー)

https://care-viewer.com/

CareViewer(ケアビューアー)は、CareViewer株式会社が提供する介護記録アプリで、介護現場のペーパーレス化を主眼にし、約20年間、介護事業所を運営してきたノウハウと現場の生の声をもとに開発されました。導入実績は1,200事業所以上。全国中小企業クラウド実践大賞総務大臣賞を受賞しています。

入力する介護士の負担を軽減するため、タブで詳細を選択したりチェックを入れたりするだけで、簡単に記録が付けられるなど、工夫されています。
また、AIを登載することで、ケアの健康予測のためのデータ解析および学習の実施が行われています。
導入スピードの速さも特徴の一つで、最短5分で導入できます。

利用料金は、ライトプランが月額5,000円(税抜・利用者人数に応じて一人当たり200円を追加)、スタンダードプランが月額1万円(税抜・利用者人数に応じて一人当たり400円を追加)。
無期限で無料で利用可能なフリープランも用意されています。

c-report(シーレポート)

http://c-repo.net/

c-report(シーレポート)は、人材事業やレセプト事業を手がける株式会社エタンセルが提供する介護記録アプリです。たくさんの業務を抱える介護現場の「少しでも軽減したい」「簡単にしたい」いう声から生まれました。

バイタルや水分量・食事量、ヒヤリハットなどを記録でき、個別記録一覧、帳票リハビリ実施計画書一覧、帳票ヒヤリハット一覧、項目グラフ事故報告一覧など、一覧表示機能が充実しています。
音声による入力も可能。

利用料金は、初期費用が5万5,000円(税抜)。月額費用が施設の定員に応じて異なり、2万2,000円(税抜)から(29名までの施設)となっています。

でらケア

http://www.deracare.com/

でらケアは、自動車産業で培った組み込みソフトウェア開発のノウハウ(品質)をベースとしながらソリューション提供を行う、株式会社F.S.Cが提供する介護記録アプリです。

スマートフォンやタブレットを使い慣れていない介護スタッフにも違和感なく利用できるよう、「チェック表」をベースに設計されています。

提供形態は、クラウドとオンプレミスの2通りが用意されており、利用料金は、オンプレミスプランが初期費用24万円(税抜)、保守・サポート費用が年間15万円(税抜)。クラウドプランが初期費用無料、月額費用1万円(税抜)となっています。
30日間の無料お試しが用意されています。

Blue Ocean Note(ブルーオーシャンノート)

https://www.care-com.co.jp/products/bon/

Blue Ocean Note(ブルーオーシャンノート)は、介護・医療・福祉分野における情報サービスを手がける株式会社日本ケアコミュニケーションズが提供する介護記録アプリです。

介護施設のほか、保育施設や障がい者支援事業所での利用が想定されており、介護保険法や障がい者総合支援法、児童福祉法など、制度の枠を超えて全てのサービス種別に対応できる点が強みです。
LIFE対象様式の作成画面やCSV出力に対応しています。
なお、クラウドの基盤には、Microsoft Azureが採用されています。

利用料金は、要見積もり。
無料のデモが用意されています。

けあピアノート

https://care-pia.com/

けあピアノートは、大手総合商社である三菱商事株式会社が開発・提供する、訪問介護専用の介護記録アプリです。

このアプリは、実際の介護事業者の課題解決のために生み出されました。実際に導入した介護施設では、
・連絡時間を50%超削減
・電話料金を3割減少
・ヘルパー満足度向上
などの効果が出ているといいます。
基本機能には、ルート表の作成・管理機能、シフト作成・変更機能、実績確認機能などがあり、オプション機能として、帳票・データ出力機能、申し送りコメント出力機能などが用意されています。

利用料金は、初期費用が契約拠点ごとに4万円、基本機能の月額費用が1事業所あたり5,000円(税抜)。
3ヵ月間の無料お試しが用意されています。

Care-wing(ケアウイング) 介護の翼

https://care-wing.jp/

Care-wing(ケアウイング) 介護の翼は、株式会社ロジックが提供する介護記録アプリです。LIFE(CHASE)に完全対応。

最大の特徴は、ICタグとスマートフォンを連動させてクラウドを活用している点。スマホをICタグにかざすだけでログインできます。
また、入力方法は、「音声入力」「定例文入力」「キーボード入力」の3パターンを組み合わせて自由に行えます。
介舟ファミリーやSuisuiRemonといったさまざまな外部の請求ソフトとの連携にも対応しています。
また、サポート体制にも注力しており、電話・リモートサポートは完全無料で時間制限・回数制限なく利用できます。

利用料金は、要問い合わせ。

カイポケ

https://ads.kaipoke.biz/

カイポケは、ヘルスケアや医療、介護分野のビジネスを手がける株式会社エス・エム・エスが提供する介護記録アプリです。

在宅介護支援向け、通所サービス向け、訪問サービス向け、その他居宅介護サービス向け、サ高住・有料老人ホームなどの住まい向けの各ソフトが提供されています。
機能は、カテゴリとして請求機能、業務効率化機能、開業支援機能、財務・会計機能、営業機能、総務・購買機能、人事・労務機能などがあり、さらに細かい機能が用意されています。

利用料金は、初期費用無料、月額費用はサービス種類別で異なり、居宅療養管理指導で1,000円(税抜)、居宅介護支援事業所で5,000円(税抜)となっています。
最大36ヵ月間の無料期間が設けられています。

コネクトケア

https://suisuiremon.com/connect-care/

コネクトケアは、介護関連システムの開発などを手がけるセントワークス株式会社が提供する介護記録アプリで、介護事業者が監修しています。全国に介護事業所を展開するセントケアグループが、介護のノウハウを詰め込み、現場の管理者とスタッフの声を反映させている点が特徴です。

具体的には、推移グラフで経過を一目で理解できたり、稼働管理表で報告を省略できたりし、最低限のICT化によって現場に負担をかけずに、最大限の効果(質の高い介護サービス)を実現できるよう配慮されています。
LIFE機能も搭載。LIFE機能のみの利用を希望する事業所向けにはLIFEプランが用意されています。
また、コネクトケアを活用したリスク管理も可能で、重大なリスクとなる服薬や入浴、また、経営に直接、影響する返戻・請求漏れなどをタブレット上で管理することで、ヒューマンエラーを未然に防ぐ効果も期待できます。

利用料金は、要問い合わせ。
タブレット端末の無料貸出キャンペーンや、10万円がプレゼントされる紹介キャンペーンも実施しています。詳しくは、直接、お問い合わせください。

まとめ

介護記録アプリとは、介護スタッフが介護記録や利用者の状況を記録するためのアプリです。スマートフォンやタブレット端末で利用することができ、紙の記録に比べて、記録の効率化や情報共有の円滑化が期待できます。

介護記録アプリを活用することで、業務効率化を図れて時間や手間を節約できたり、エラーチェック機能などでデータの正確性を向上できたりと、さまざまなメリットが得られます。

総じて、介護アプリを導入することで、介護記録の作成、管理、共有が効率的に行えるようになります。
ただし、アプリ選びには慎重な調査と比較が必要です。上でご紹介したようなアプリを中心に、各事業所に合ったものを選びましょう。なお、介護記録アプリでは個人情報を記録するため、データの取り扱いには十分な注意が必要です。セキュリティ対策もチェックしましょう。