「国保連合会の審査を通過し、介護給付費が確定して一安心」・・・ところが、後になって「本来の正しい請求金額より高く、または低く請求してしまった」「生活保護などの公費受給者に対して介護保険分のみ請求して支払いを受けてしまった」など、その給付費に誤りがあったと発覚することも多々みられます。
また、保険者や税務署の監査によって、要件を満たしていない請求やサービス提供票に記載されていないものについて指摘を受ける場合もあります。
このように既に行った請求に対して誤りが発覚した場合、その請求を一旦取り下げる(給付金額の返還をする)必要があります。
これを、「過誤調整」や「過誤申立」といいます。
過誤調整(過誤申立)の注意点
「複数のサービスを利用しているなかで誤りのあった1つの項目だけを取り下げたい!」と思うかもしれませんが、過誤調整は請求明細書単位で処理が行われるため、同じ請求明細書に記載されているサービスすべてを取り下げる必要があります。
注意点として、
・返戻または保留になってしまった
・国保連合会での審査中に誤りが発覚した
このような場合は、過誤申立の対象にはなりません。あくまで支給決定した場合(入金が確定した場合)に行うことができるのが過誤申立です。
また、過誤には2つのパターンがあります。
①通常過誤
給付実績を取り下げのみを行う方法。給付費のすべてを一旦返還し、「介護給付費過誤決定通知書」にて過誤処理の完了を確認後に再請求を行う。
②同月過誤
給付実績の取り下げと再請求を同月に行う方法。
過誤金額が大きい、または過誤件数が多く、通常過誤では事業所の運営に影響が出てしまう場合に、事前に保険者へ相談することによって、介護給付費過誤決定を待たずに過誤処理と同時に再請求を行うことができる。
通常過誤および同月過誤を行う際は、申立書等を提出する前に該当保険者へ連絡をしましょう。必要な提出書類は何か、何月審査で処理を行うのか、提出期限はいつか、保険者によって異なります。
また、介護給付費過誤決定通知書が届く前に再請求をしてしまうと、重複となり返戻となってしまうので注意が必要です。
まとめると、
〇通常過誤の流れ
事業所が保険者へ対して過誤申立を行う→保険者が過誤申立情報を取りまとめ、国保連合会へ送信する→国保連合会が過誤申立情報に基づき、過誤処理を行う→過誤処理結果を保険者および事業所へ通知する→事業所が再請求を行う
〇同月過誤の流れ
事業所が保険者へ対して過誤申立を行う→保険者が過誤申立情報を取りまとめ、国保連合会へ送信する→事業所が再請求を行う→国保連合会が過誤申立情報に基づき、過誤処理を行う→国保連合会が過誤処理分の金額を相殺し、事業所へ支払う→過誤処理結果を保険者および事業所へ通知する
という流れになります。
過誤を発見しても慌てずに、まずは保険者へ相談や確認を行うなどして、適切な対処をとりましょう。