介護の仕事というと、食事や排泄の介助を行う介護士やヘルパーとして活躍している人が多いかもしれません。

一方、生活相談員という身体介護などは行わない仕事があることはご存じでしたか?高齢化社会の本格化とともに、今後ますますニーズが高まることが予想されている生活相談員の仕事について解説します。

生活相談員の役割

生活相談員は、指定介護老人施設や特別養護老人ホームなどの介護施設で利用者受け入れに際しての面談、契約、各種手続きなどを担当しています。

介護事業所では営業時間中に少なくとも1名の生活相談員を配置することを法律で義務付けられているのです。
具体的には以下のような支援を行っています。

相談業務

利用者や家族と面談して、どのような支援が必要なのかを把握します。入居時はもちろん介護計画の見直しのために面談を行うこともあるのです。

通所介護契約

ケアマネージャーと連絡を取りながら、施設で利用者を受け入れる際の必要手続きを行います。

運営管理業務

生活相談員の中には施設のマネジメントに携わっている人もいます。

介護業務

基本的に介護業務は介護スタッフが担当していますが、生活相談員が現場の仕事を兼務していることもあります。

生活相談員になるには

生活相談員になるために必要な資格は都道府県によって異なります。
一般的には「社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者」と規定されていますが、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかが求められることになるでしょう。

社会福祉士

社会福祉士とは、高齢者やハンディキャッパーとその家族の相談に乗ってアドバイスや指導を行うのが仕事です。「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもあります。
社会福祉士になるには社会福祉士国家試験に合格しなければいけません。国家試験の受験資格を取得するには「福祉系の4年制大学で所定の課程を修了する」「福祉系短大で所定の課程を修了して、1~2年の実務経験を積む」「一般の四年制大学を卒業後、養成施設で学ぶ」「一般の短大を卒業後、1~2年の実務経験を積み、養成施設で学ぶ」という4つのコースがあります。

精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神的なハンディがある人とその家族の相談を受けて、社会参加に必要なアドバイスと指導を行うのが仕事です。
精神保健福祉士になるには精神保健福祉士の国家試験に合格しなければいけません。受験資格を取得するには社会福祉士と同じく、4つのコースのいずれかを選択することになります。

社会福祉主事

社会福祉主事とは、福祉施設や福祉事務所で相談援助業務に携わる公務員のことで「ケースワーカー」と呼ばれることもあります。
社会福祉主事になるには社会福祉主任用資格を得て公務員試験に合格しなければいけませんが、生活相談員として働くならば社会福祉主任用資格だけでかまいません。
社会福祉任用資格は「大学や短大で社会福祉に関する科目を履修する」または「厚生労働大臣指定の養成機関および講習を修了する」という2つのコースで取得可能です。

生活相談員の仕事に就くには以上のような資格が必ずしも必要ではありませんが、少なくとも社会福祉主事と同等の能力は前提として採用されることがほとんどです。
滞りなく業務を完遂するためにも福祉に関する知識はきちんと身につけておくようにしましょう。

まとめ

以上のように生活相談員になるにはさまざまなルートがあります。介護福祉士、ケアマネージャーなどの資格を持ちながら生活相談員として働いている人も少なくありません。

体力勝負の身体介護と違って、生活相談員は年齢を重ねても無理なく続けることもできるでしょう。将来のことを考えて検討してみてはいかがでしょうか。