介護施設の経営者の頭を悩ませる問題のひとつとして、サービスレベルがあげられます。介護サービスは、人と人とが関わりあって提供していくもの。担当する介護士の技能や人柄によって、違いが生じがちとなります。
介護の質を安定させるために経営者ができることを考えてみましょう。

サービスの質が下がる原因

サービスの質が低下する原因としては、一人一人の職員に対する業務過多が考えられます。介護士として入社した全ての職員が十分なキャリアを経てきたわけではありません。
集合研修やOJTを通してスキルアップ機会を提供するのが理想ですが、先輩職員が日常的な業務に追われている状況では、後回しになってしまいます。
教育が不十分で新しい人材ではまかなえない仕事をベテラン介護士に任せた場合、さらに業務負担が増えて時間に追われる悪循環に陥るものです。
新人介護士は効率的に仕事をこなすスキルを養う機会が得られず、ベテラン介護士は事務作業に追われる状態が慢性化すると、モチベーション低下も免れません。
仕事に対する意欲を持てない状況では、利用者に対するきめ細やかな支援を行うことが困難となり、サービスの質低下が懸念されます。

業務過多の職場では、情報共有体制に問題が生じるリスクもあります。自分の仕事をこなしていくことに注力するあまり、周囲との連携がとれなくなった状態です。
各自が自分なりのやり方で利用者と接していくあり方では、サービス内容にばらつきがでます。また、誰かが良い取り組みをはじめても周囲に広まっていくことがないため、組織としての成長機会を得にくい状況が問題視されます。
サービスの質が下がるばかりか、保険請求や利用者情報の伝達ミスなど深刻な問題もでてくるでしょう。
介護サービスはチームで行うものという認識を強化して、具体的な改善案を投じる必要があります。

業務効率化を目指す

組織としてのまとまりを強化してサービスの質を維持していくためには、経営や運営を安定させる必要があります。
職員の業務負担を軽減して心のゆとりを促すことで、周囲に配慮した仕事の進め方を実現するための配慮が重要でしょう。
手が空いたベテラン介護士が社内教育を担当するなど、新しい人材に対するサポート体制も整えていきます。組織としてのノウハウが蓄積していき、上質なサービスレベルが共有される状態こそ理想です。

具体的な施策例として、介護請求ソフトを検討できます。利用者情報や介護保険請求データを一元管理することで、事務作業にかかる時間が大幅に短縮、作業効率をあげるねらいです。
浮いた時間をご利用者様とのコミュニケーションや社内教育にあてることで、組織としてのサービスレベル底上げを目指していきます。同じ時間で処理できる作業量を増やしていくことは、残業が慢性化している状況を改善できるチャンスです。

残業が減ることで社員の健康的な生活を後押しすれば、活き活きとした表情で働く人材が増えていきます。介護士同士の仲がよくて笑顔で接するあり方は、心身のケアを担う事業所にとって大きな強みとなるでしょう。
定時に間に合うように仕事をするのが基本、残業は緊急の仕事が入ったときに限る、という認識が介護士の中に生まれると、限られた時間をより有効に活用しようと動きます。
定時を過ぎた後に介護士がどのように仕事をしているか分からない、など従業員管理に関する悩みも解決できて、介護経営者がコントロールしやすい組織に近づくでしょう。

まとめ

介護請求ソフトを導入することで職員の定着率があがって利用者も増加した、など介護施設経営者にとって参考にしたいモデルケースもあるようです。
介護の質を安定させるためにどんなことができるか、今一度考えてみましょう。マネジメントの仕方次第で、介護士の働きぶりは変わってきます。職員が活き活きと仕事ができる組織を産み出すことにより、お客様に選ばれる介護施設を目指しましょう。