介護保険法施行後に介護事業所が次々とオープンしたことによって、現在では「コンビニ並み」といわれるほどポピュラーなものになりました。
そのような状況で、順風満帆のところもあれば経営難から倒産に陥ってしまうところもあります。
介護事業所の経営を軌道に乗せるために注意すべきポイントについて解説しましょう。

介護事業所が抱えている問題

介護事業所にとって人材の流出は深刻な問題です。介護職は昔から離職率の高い仕事といわれてきましたが、最近ではようやく以前ほど流動的ではなくなってきています。
しかし、やはり他業種と比べるとなかなか人材が一つのところに根を下ろさない特徴があることは否めません。

人材流出で注意しなければいけないのは「一人が辞めだすと止まらない」という現象がある点です。「辞めるのは給与面で不満があるから」と、短絡的に考える経営者も多いようですが、それは間違いです。そもそも介護業界で働こうという人は、賃金が低いことを覚悟しているものです。お金よりも「思ったような介護サービスを提供できなかった」「人間関係が苦痛だった」というような悩みで辞職する人が少なくありません。

待遇面で問題があっても、短期間ならば人間は耐えることができます。しかし、精神的・肉体的疲労が長期にわたるようでは問題です。なぜ、職員一人一人に負担がかかっているのか、根本的な原因を探り、改善していく必要があります。待遇、給与面だけではなく、職場環境や雰囲気も改善していかなくては、質の高い介護サービスを提供し続けることもできないでしょう。

気をつけるポイント

高品質の介護サービスを提供し、介護事業所の経営を軌道に乗せるにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。3つのポイントを紹介します。

経営理念を共有する

介護サービスには決まりはありません。利用者のニーズに追われているだけでは、日々忙殺されて終わってしまいます。
忙しい毎日の中でもスタッフ一人一人が目標を失わずに働くためには、まず全体的な経営理念をしっかりと確立しておくことが大事です。
それには、経営者自信が作りたい組織のビジョンをはっきりと持つようにしなくてはいけません。その上で、何度でもわかりやすく語ることによって、組織全体で経営理念を共有するようにしましょう。

人間関係を改善する

介護職の離職率が高い理由は、スタッフ同士の人間関係に悩む人が多いためといわれています。円滑なコミュニケーションを促して、信頼関係を構築できるように環境を整えましょう。また、人手不足で忙しすぎる職場も人間関係に亀裂が入りがちです。十分な人員を配置しているかどうか、常にチェックするようにしてください。

介護ソフトを導入する

人手不足を解消したいと思っても、人件費が足りない事業所もあるかもしれません。そんな時には、介護ソフトを導入することをおすすめします。利用者の状況、介護費用などを一括管理して、介護報酬請求まで行うことができるような介護ソフトもあり、データ入力の二度手間などを省くことができて大変便利です。ケアマネージャー、ヘルパーなど各スタッフが情報を共有することで、より質の高い介護サービスを提供することができるのではないでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。介護事業所の経営を安定させるためには、まず現在抱えている問題を正確に把握する必要があります。
その上で適切な問題解決手段を講じれば、おのずと経営も上向きになるでしょう。
介護ソフトなどを積極的に導入して人手不足を解消して、スタッフがいきいきと働くことができる環境を整備することが、経営を安定化する最大のポイントではないでしょうか。