介護事業所といえども、一つの企業であることに変わりはありません。
経営が軌道に乗っている介護事業所は、経営者によって明確化された事業理念が、スタッフ一人一人にまで浸透しているといわれています。
そもそも事業理念がなぜ大切なのでしょうか?介護事業所における事業理念の意義について解説します。
事業理念とは組織のあり方を示す
介護事業所における事業理念とは「事業所の存在理由」を示すものです。
「なぜ、この介護事業所は存在しているのか」「果たすべき使命は何なのか」という経営の拠り所であり「未来はこのような介護事業所でありたい」というビジョンを導きます。理念は旗のようなものであり、理念を掲げることで事業所の目指すべき道がはっきりと定まります。
介護の現場は多忙です。ご利用者のニーズにきめ細やかに対応しているだけでも一日はあっという間に過ぎていきます。チームワークで仕事をすすめなければいけないことも多く、人間関係でストレスを抱えることも少なくありません。
そのような毎日を過ごしていると、スタッフの悩みもつきないものです。
事業所によっては非常に離職率が高いことが、企業としての成長を阻んでいることもあります。
優秀な人材に末永く働いてもらうためにも、明確な事業理念を確立しておくことは非常に重要です。高いプロ意識を持って、トラブルを前向きにとらえて改善していく動機として、将来的な展望というのは欠かせません。
まず、経営者自信が事業理念をはっきりと発信して、介護事業所全体に浸透させましょう。一人一人が将来へのビジョンを共有しながら働くことは、質の高い介護サービスを提供するためにも欠かせないことなのです。
意思統一できていない事業所は弱い
経営者が事業理念を明確にして浸透させることを怠っている介護事業所は、経営が軌道に乗ることはほぼありません。なぜならば、経営が軌道に乗っている企業は、経営層から現場スタッフに至るまで意思統一されていることが大きな特徴だからです。
成長できる介護事業所にするには組織に一貫性と整合性を持たせるようにしなければいけません。その点を蔑ろにしてしまうとスタッフの離職につながることも多く、組織はますます弱体化してしまうでしょう。
まず、経営者は事業理念をしっかりと打ち立ててださい。それを朝礼などで発信することも大事ですが、ミーティングや飲み会など社内外で何度でも繰り返し伝える努力をしましょう。
企業が抱える問題点を経営者目線で解決できる方法を紹介することも重要です。その上で、現場サイドからの異なった意見が出てきたら、積極的に取り入れるようにしましょう。
単に上から命令するだけではなく、介護事業所にたずさわる全員が主体的に自分の考えを持ち、発表する機会があるということも「やりがい」には欠かせません。スタッフ同士のコミュニケーションを促し、風通しの良い現場を目ざしましょう。
そのようにして人間関係がある程度改善されたとしても、慢性的な人手不足の中でハードワークが続くと、どうしてもギスギスしてしまうこともあります。
経営者としては、物理的にスタッフの負担を軽減する工夫をすることも欠かせません。職員を増やすのも一つの方法でしょう。もし、十分な人件費がないならば介護ソフトを活用することもおすすめします。特に介護報酬請求は便利な請求ソフトも各種揃っているため、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
介護の仕事というのは「こうしなければいけない」というルールがあるわけではありません。そのため、忙殺される中で仕事に対する目標を見失いがちでもあります。そんな時にしっかりと確立された事業理念があれば、スタッフの心の拠り所とすることもできます。一人一人が目標と誇りを持って働くことができる環境を構築することで、質の高い介護サービスの提供へとつながります。