男性育休推進って本当に必要なの?あった方がよいだろうけど、いまいち腑に落ちていない皆様へ概要をおつたえします。
男性育休推進の必要性
国にとっての男性育休
国はなぜ男性育休取得者を増やしたいの?
日本は少子化対策が急務だからね。1970年代は年間150万人以上生まれていたけれど、2016年に100万人を切ったと思ったら2019年には86万人、2021年には80万人を下回るとのニュースも出ていたね。この減少スピードに歯止めをかけるためにも、国は2020年度の男性育休得率13%を目標に掲げたけれど、7.48%と届かなかったんだ。
男性育休が増えると少子化を止められるの?
国の調査では、男性が家事・育児に関わるかどうかで、第二子の誕生率が大きく変わるんだ。(図参照)そして専業主婦世帯だけでなく、共働きで夫婦共に仕事をしているのに家事・育児をしていない男性が7割もいる。育休を取って産後から一緒に関わることで家事・育児時間を増やして出生数を上げていきたいんだね。
参考:休日の父親の家事・育児時間と第2子以降の出生の関係
内閣府「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2016
社会にとっての男性育休
男性育休は必ず必要なの?
必ずということはないので、家庭でもよく話合って決めればいいと思う。
ただ、産後の女性のことを知っておくことは大切かも。
例えば、産後はホルモンバランスが崩れること、赤ちゃんの3時間サイクルで睡眠時間が不足することから産後うつになりやすい。どんな元気な人でもなる可能性があって、日本では約10人に1人が産後うつになっているそうだよ。そして驚くことに、産後1年間の女性の死因第一位が産後うつなんだ。
え~!そんな悲しいことが起きているなんて知らなかった
そう、そして産後2週間~1カ月頃が一番産後うつになりやすい。だから産後すぐに男性育休をとることがお勧めだよ。
でも男性が育休を取っても役に立つかな~
産後の赤ちゃんにどう関わったらいいか不安なのは母親も父親も一緒。私も2回育休を取ったけれど、最初から一緒に関わると自然に出来るようになるし、私の場合は可愛くてしょうがなくなったよ。家事も妻には及ばないけれど最低限は出来るようになったしね。
企業におけるメリット
国や社会としての男性育休の必要性はわかったけれど、企業にとってはメリットはあるの?
確かにそこは大事だよね。まだ男性育休推進が進んでいる企業は少ないからデータはあまりないけれど、例えばこんなことが考えられるよ。
従業員の幸福度UPと会社への帰属意識UP
- 職場で仕事と家庭の両立を考えるきっかけとなり、「女性活躍推進」や「介護と仕事の両立」の理解促進
- 男性育休が取りやすい会社として採用・定着に好影響
- SDGs(目標5:ジェンダー平等)への取り組みとして企業価値向上
企業にとっても色々メリットあるんだね。特に「採用・定着に好影響」は企業にとって常に重要課題だから興味深いね。
今は、男性若手社員の8割が育休を取りたい、女子学生の9割がパートナーに育休をとってほしいと答えている調査結果もあるからね。企業説明会や求人票に“男性育休取取得率○%”と記載できたら強みになるよね。
企業価値って具体的にはどんなこと?
今は市場も様々な角度から企業を注目しているよ。例えば2019年に男性育休取得者へ不遇処置をした会社があったよね。すぐにSNSで話題になり、株価が2割も下がったらしいよ。男性育休も市場に影響する重要な人材戦略なんだね。
男性育休推進の進め方
男性育休を進めた方がよいことはわかったよ。けれど、実際には今取り組んでいる重要課題があるし、また、どう進めていけばいいか悩むよね。
そうだね。まずは現在の会社の課題を洗い出し、優先順位を付けよう。そして男性育休がそれらの課題とどう関連していくか考えてみて。
“男性育休は社会を変える一番ピン”
NPO法人ファザーリング・ジャパンより引用
とも言われていて、例えば、女性活躍推進や採用定着など重要課題を解決する糸口になるかもしれない。
男性育休だけで考えるのではなくて、関連付けしていくんだね。
そう。人事が抱える課題はそんなに単純で簡単じゃないよね。具体的な施策や進め方は企業によって異なるから、相談してみてね。