そもそもなぜ国は働き方改革に取り組むのでしょうか? 従業員に説明する際もここを抑えておくと推進しやすくなるのではないでしょうか。
国が働き方改革を進める理由
そもそも国はなぜ働き方改革を進めているの?
国が進めている理由は大きくは2つあるよ。 1つは少子高齢化社会への対応。もう1つは生産性向上。
1つ目の少子高齢化社会への対応ってどういうこと?
少子高齢化が進み、既に現在の生産労働人口は減少し始めているんだ。そして少子化も進んでいる。戦後は人口が増加し、国の労働力も増えていたんだけれど、今は人口は減少しているので、「現在の労働力確保」と「未来の労働力確保」が国の重要課題になっているんだ。
「現在の労働力確保」と「未来の労働力確保」だね。
もう1つの生産性向上とは?
OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本は世界の中で労働生産性が低くて、例えば、1人当たり労働生産性アメリカの2/3ほど、つまり同じ時間を働くとアメリカの方がたくさん利益が出るということだね。日本の労働生産性は先進国30数か国の中で10年以上20位前後。先進7か国の中ではずっと最下位なんだ。
え~、そうなんだ。では同じだけの利益を出そうとすると、もっと働かなきゃだね。あれ?でも多く働くとその分残業代が発生するから益々生産性が低くなるの…、う~ん、どうすれば。
では対策を1つずつ見ていこう
現在の労働力を増やす
現在の労働力を増やすってどういうこと?
例えば、就業率(15~65歳)をみると、2001年時点では男性は80.5%、女性は57%と大きく開きがあったんだ。女性活躍推進が進み、専業主婦世帯から共働き世帯が増加、2019年時点では男性は84.2%、女性は70.9%と女性もかなり増えてきたよ。でもまだ開きがあるよね。そして視点を変えると、シニア活躍、障がい者雇用など多様な人材活躍が重要になってくるんだ。
そうなんだ、だから国は女性活躍を進めているんだね。
そう。そして日本のジェンダーギャップ指数は156か国中120位。100位にすら入っていないんだ。女性が社会で活躍出来ていない状況があり、逆にここが伸びしろと考えれるんだ。
なるほど。でも女性やシニアや障がい者などは今までの男性と同じように働くのは難しいのでは。
そこが大きな課題だね。でも男性についても、今後は今までと同じように働ける人材は減っていく可能性があるんだ。
え、どういうこと?
例えば、2022年には団塊世代が後期高齢者になるよね。そうすると要介護状態になってお世話が必要になる方も増えていくことが予測されているよ。団塊世代の子どもである団塊ジュニア世代(40~50代)はいつ親の介護に直面してもおかしくないんだ。今の40代は共働きも多いこと、そして介護は1人ですると介護うつになったりする可能性もあるから、夫婦や家族みんなでやっていく必要があるね。
そっか、今までバリバリ働いていた男性も仕事と家庭の両立が必要になってくるんだね。
そう、そして若手は夫婦で育児をしていきたい男性も増えているよね。そうなると若手も中堅もベテランもみんな家庭と仕事の両立が重要テーマになってくるよ。つまり、今いる人材が残業することで成果を出す組織運営から、時間制限があることを前提とし、お互い様の風土でチームで成果を出す組織運営に変えていく必要があるんだ。
未来の労働力を増やす
未来の労働力を増やすには?
シンプルに考えると出生率を増やすことが必要だよ。出生率を上げるためには産後に男性が育児家事に関わるかどうかが分かれ目と言うデータがある。
え、そうなの?
以前は親の支援や地域で子育ての考えがあったけれど、様々な社会環境の変化からワンオペ育児が増え、産後の大変な時期を母親ひとりで辛い思いをすると、もうふたり目は難しいと考える女性が多くなってきていると思われるよ。
産後うつという言葉もよく聞くものね。
だから国も男性育休を推進していて、法制化まで進んできたんだ。
これからは国の持続的な成長のためにも男性育休が当たり前の時代になるんだね。
そういえば、男性育休の詳細は別の記事で話があったよね。
生産性を上げる
生産性向上ってよく聞くけれど、何をすればいいの?今までだってみんな一所懸命頑張ってきてるよ。
そうだね。頑張ってきたのだけれど、時代の変化に合わせて頑張り方や考え方をバージョンアップしていく必要がありそうだよ。
それはまた次の記事で